多くのゲーム開発を私は経験してきました。(執筆時現在:自社開発1件,受託4件,出向3件)
リリース出来たものも、出来なかったものもあります。
それらの場所・環境で出会った方々から、色々な話を見聞きしました。
これら聞いた話や私自身の経験から、
「こんな状況の会社・プロジェクトはマズい」という特徴を集めてみました。
会社・プロジェクトに、新しく入ってしばらくした方に、参考になる内容だと思います。
あまり抽象化せず、具体的な内容を挙げてみました。
ブラック化しがち
いつの間にか、プロジェクトの ”ブラック化が常態化している” なら、もう赤信号です。
リリース直前など、局所的にブラックになる分には問題ありません。あるあるです。
ブラック化が発生しても、ずっと解消できないなら、情報共有と意思決定に問題があります。
大事なポジションにいる人が、判断を誤り続けているから起こります。
特定の誰かが原因になっていることが多いでしょう。
その人がいないお隣のプロジェクトなら、平和だったりします。
なので、プロジェクトごとに観察しましょう。
“原因の誰か”が分かったら、その人からは距離を取った方が良いです。
忙し過ぎるため、「情報共有をしない環境」を併発していることが多いです。
なので、2度手間3度手間を起こしがちです。
益々ブラックループに陥ります。
“原因”が大事なポジの人にありがちなため、経験上、ブラックループは解消できません!
逃げるか、最後まで残る覚悟をしましょう。
10年目前後の人がみんな抜けていく
ある程度力を付けた人が、そこに居つかない理由が会社に存在しています。
給料が理由というのもありがちですが、本音は別にあることが大半です。
10年目としたのは、お金が貯まってくる+どんな人でもある程度の地力がつく頃だからです。
入ったばかりはお金も選択肢もなく、会社にしがみつくしかなかった人が…
あるとき突然に辞めていく。
その人はずっと不満があり、辞めたいと長い間思っていた可能性が高いです。
10年も務めれば、居心地が良くなってもおかしくありません。
例えば、部下ができる。給料が上がる。重要な仕事を任される。
そのはずが……ふらっと辞めてしまう。
少しの自信と、冷静な目で会社を観察し、「ここには将来性がない」と結論付けた何かがそこにはあります。
これが連続するとその会社では、
ベテラン、教育役、など「次を育てるはずの役がいない」という事態になります。
新人で入っても、放置プレイをされる可能性が高いでしょう。
上司・責任者が不在・不明
会社内でつぶし合い・足の引っ張り合いが横行している証拠です。
結果、誰も責任を取りたがらない環境が生まれます。
もし意見が出る時は、たくさんの人が一度に意見を言うことになります。
その方が、誰が言ったかが曖昧になるので、責任をうやむやにできるからです。
そして、責任の所在は分からないため、何を採用すればいいかが決まりません。
会議ばかりしているチームは、この傾向があります。
民主主義の皮を被った、お気持ち表明集団です。
長時間かけても何も決まりません。
新人は放置プレイをされ、成長スピードがかなり鈍化します。
何も知らない・武器もない状態での、自由という名の放牧は、ただの無責任です。
重要なポジションはフリーランスばかり
フリーランスは基本、後進教育はしません。
なので、ノウハウが社内に残りません。
人が居付かず、誰も教育・成長しない。
結果的に、フリーランスの集まりのような会社になっていくでしょう。
フリーランスが抜け、いざ自社開発となった時、何も進まない時間が永遠と続くでしょう。
そしてまた、フリーランスに頼る悪循環となります。
フリーランスにとっては天国ですね。
資産作りをしていない
資産とは、会社の共有知識、データのことを指します。
資産を作ってはいるが、誰にも使われていないなら同じことです。
資産を作る人が居ないということは、つまり、情報共有しない文化であると言えます。
情報が共有されない仕事は、たいてい地獄を見ます。
仕事が俗人化、ブラックボックス化し、人を増やせません。
プロジェクトが進むと、ブラックプロジェクトに進化するでしょう。
新人が何人も伸び悩んでいる
”何人も”がポイントです。天才は存在します。それは除外します。
天才ではないが、真面目な人が伸び悩んでいるかどうかを見ます。
新人も馬鹿じゃないので、努力はしています。
ですが、誰にも・何にも頼れない環境があるため「伸び悩む」ことになります。
- 教育役が存在しない。
- 会社資産もない。
- 情報共有もしない。
- 誰も責任を取りたがらない。
これら要素が組み合わさって、新人が伸びない環境が生まれます。
このように、ここには ”ダメな会社が伸び悩む要素” が詰まっています。
人材派遣会社と化している
いつまでたっても自社開発をしないなら、そういう方針の会社だと判断した方が賢明です。
派遣会社の社長や役員は、人格が破綻していて、人を奴隷として見ている可能性大です。
おのずと空気が重く、居心地の悪い会社になります。
小さい会社なら、正常でもありがちな戦略なので、判断には注意しましょう。
有名ゲーム受注案件”しか”していない
(大手の100%持ち株会社は別。
例:モノリスソフト、1UPスタジオなど)
もはや人材派遣会社である可能性があります。
有名ゲームばかり見せるのは、その方が世間を知らない新人が釣れるからです。
悪い大人にとってはかなり都合がよく、使いつぶされて捨てられるのがオチです。
社内の知的資産、中堅、ベテランが居ない可能性もあります。
成長するにも悪環境です。
有名ではない案件も受注、公開しているか、確認した方が良いでしょう。
優秀な人”だけ”を欲している
人を選び過ぎている状態は、危険です。
ただし、超大手は除きます。
超大手はむしろ採用を絞ってしかるべきです。
超大手ではないのに、そうなった会社は斜陽です。
人を育てる環境や余裕がないと、危険シグナルを発しています。
しくみ化が下手でもあり、少し規模の大きい開発でもてこずるでしょう。
会社が苦しく、行き詰っている可能性もあります。
優秀な人を持て余している
優秀な人材を活かせていないのも問題です。
- 価値ある仕事を生み出せていない。
- 人事が下手。
- 経営判断が下手。
このような傾向があります。
優秀な人であっても、環境が悪ければ停滞します。
優秀な人は、環境の重要性と、自分の価値をよく分かっているので、早々に抜けます。
普段余裕そうな方で、「ここにいても面白くない」と言って抜ける人がいたら、黄色信号です。
自己責任論がはびこっている
自己責任は、無責任です。
私生活はそれでいいですが、仕事に持ち込むのはかなり危険です。
- 情報共有をしない文化
- 助けない文化
- 後進を育てない文化
これら文化の複合系が、自己責任論の土壌を生みます。
「責任を取る」ことへのリスクが高い環境となります。
結果的に挑戦が減り、社員の成長は著しく鈍化します。
特に、上司が自己責任論の方は、今すぐ逃げた方が良いでしょう。
もう一度言います。
「自己責任は、無責任」
SNSや公式サイトの更新がない
宣伝が下手な可能性大。
つまり、売る力がないという事です。
開発と宣伝は、両輪の存在です。
どんなにすごいゲームでも、宣伝がなければヒットしません。
そして、今やSNSは、必須広告媒体であり、しかもコストがかなり低い手段です。
これを怠る会社は、余裕がないと言えます。
自社開発もない可能性が高いでしょう。
あとがき
以上、ダメなゲーム会社の特徴を挙げてみました。
これらの話は、自身の経験と、出会った人々の経験談や観察から来ています。
こうして書き出してみると、以下のポイントに集約できる気がします。
ダメなゲーム会社のポイントまとめ
- 情報共有をしない。
- 責任者がいない。
- 人が定着しない。
- 自社開発をしない。
まとめると、どこかで聞いたような文字列になってしまいました…。
ですが、少し具体的な視点を提示できたと思います。
ぜひ一度、自分のいる環境はどうか、観察してみて下さい。